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液晶ディスプレイの解像度について

概要

[2018-12-21 Fri 17:00] 作成.
このページは私が 2016 年末頃に書いたまま放置していた文章に再び手を入れてみたものである。このときの考えを元にして 24 inch の FullHD ディスプレイを購入し、現在も使用しており、満足している。

本文

[2016-12-18 Sun], [2018-12-21 Fri].
外付けディスプレイを買うにあたって、文字の大きさとディスプレイ—顔間の距離、ppi などについて考察した。文字サイズを考えるうえで、retina ディスプレイなどの複数ピクセルで 1 ピクセル表現するようなものは考えない。

まず手持ちの文庫本から、10 [cm] あたりの文字数が 31 文字であることを確認した。また同様に MacBookAir(13 inch) の 128 [ppi] ディスプレイ上でも、 16 [px] という標準的なサイズの文字が 10 [cm] あたり 31 文字(全角)表示できた。ちなみに同ディスプレイ上で 14 [px] は 35-6 文字だった。

また、スクリーンは多くが 35mm フィルム換算 50-85 [mm] の画角(標準-準望遠域1)に収まるように、そしてその時のディスプレイの細かさがちょうどよくなるように作られている。文庫本やスマートフォンでさえこの画角に収まるように無意識のうちに本を動かしているようだ。しかし文庫本と 13 インチディスプレイは同じサイズではない(1-2 周りディスプレイが大きい)。本の場合は 30-35 [cm] (人によって片ページを画角に収めようとするため、より近づくかもしれない)、 13 インチディスプレイは 45-60 [cm] ほど離れて見ていた。

MBA (13 [inch]) の ppi は 128 だ。 65-85 [cm] 離れて別のスクリーン X を見る場合、ppi は 92 程度あれば同じようにみえる。つまり 45-60 [cm] 離れて見る 128 [ppi] の比率(つまりタンジェント)と、 65-85 [cm] 離れて見る 92 [ppi] の比率とがおおよそ等しいということだ。このことからも、顔に近付けて使うスマートフォンに要求される解像度は必然的に高くなることも理解できる。

この時 FullHD なら 24 インチが 92 [ppi] だ。つまりこの 2 つのディスプレイならば、フォントのサイズを変えなくても見る距離が変化するため、同じ設定でほぼ同じ大きさに映るということだ。逆に ppi と距離を変化させずにスクリーンのみ大きくすると表示領域は大きくなる(ただしスクリーンが収まって欲しい画角のうちに収まらないかもしれない2)。

調べるうちに、apple が示した retina ディスプレイの定義について書いた記事に出くわした。 retina にこのような定義があること自体知らなかった。そのなかで、apple は retina ディスプレイを「視力 1.0 の人がある距離から認識できないピクセル幅の限界」として定めているようだと分かった。スクリーンが「どれほど retina に近いか」を示した表のリンク(google ドキュメント)を示す。

この表によると、視聴距離(インチ)と ppi の積が 3430-3440 [ppi・inch] になれば retina の条件を満たすとしている3。ちなみに cm に換算すると約 8720 [ppi・cm] だった。よって 75 [cm] 離れて見るためのスクリーンとして、 116.266 [ppi]4 を超えているならば retina だといえる。

しかし自分の視力は 1.0 ではない。仮に視力 0.75 の場合、75 [cm] 離れた時 87.2 [ppi] あればピクセルが認識できなくなる。これは 24 [inch], 92 [ppi] の FullHD モニタであればピクセルが認識できなくなるには十分な解像度であるといえるだろう。

脚注:

1

趣味でカメラをやっているのでこのような書きかたになった。
写真に興味のない方に分かる説明をするならば、 35mm フィルム換算で 50 [mm] というと「肘をのばし、掌を大きく開いて目線の先に突き出したとき、親指の先から小指の先までを 縦幅 とする縦 2: 横 3 の画面の開き具合」をさし、 85 [mm] というと「50 [mm] と同様だが、親指の先から小指の先までを 横幅 とする縦 2: 横 3 の画面の開き具合」をさす(どちらも横長の画面の場合)。
これはカメラ趣味の方にもおおよその画角を把握するうえで覚えておいて損はない知識であると思う。

2

というのも、私たちは意識してディスプレイとの距離を定めているのではなく、あくまで「見心地の良い」距離を無意識のうちに探して画面を移動しているのだ。スクリーン、スマートフォン、文庫本などのメディアは問わない。その心地良さを決めるのは虞らく文字サイズなのだが、たとえば画面が文字サイズと比べて大きすぎるときには、画面端を見るために首を振らなければならなくなる。これは長時間画面を見るときのストレスの要因のひとつになるだろう。

3

ただし、この積はスクリーンに近い縦横比で用いるデバイスにしか有効な考察でないかもしれない。なぜならスマートフォンは基本縦で使い、横にして見るときに無意識に顔に近付けて使うかもしれないからだ。あくまで同様のデバイス同士の性能比較の際に使うのが妥当だと思う。

4

8720 / 75 = 116.26666…

Created: 2021-03-17 Wed 17:06

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